2016年3月28日月曜日

「留学生リレー日記」第5回 星を眺め、哲学にふける

毎週更新「留学生リレー日記」第5回はドイツ南部のチュービンゲン大学より川口雄久さんがお送りします。意外なところに歴史があるのがヨーロッパの魅力ですよね。



学部卒業後の進路は悩ましいものですが、選択肢は多くありませんでした。私大在学中、家庭の経済状況が悪化し、日本で修士には進学しないと決めたからです。就職か奨学金を取り海外の院に行くかの二択で考えていました。

ドイツに留学したのは、文化への興味等様々ありましたが、一番は奨学金を頂けることになったからです。無論、米国が科学のトップなわけですが、その分、高いTOEFLの基準、GREなど、出願のハードルはとても厳しいです。ヨーロッパはそれに比べると楽で、僕の場合、4年生はじめにIELTSスコアを取得、夏にドイツ政府の奨学金に応募、発表が11月末、その後希望する院の応募書類を年末までに用意、年明けに応募、2月に筆記試験、3月はじめにスカイプ面接、というスケジュールでした。結局、米国には出願しませんでした。


あれから3年、南ドイツのチュービンゲン大学で修士号を取り、そのまま博士課程に進学しました。知らない人がほとんどでしょうが、500年以上の歴史があり、天文学者ケプラーや哲学者ヘーゲルの出身大学です。確かに星を眺め、哲学に耽るのにいいかもしれない、綺麗で平和で退屈な、ヨーロッパの田舎町です。ドイツの大学では珍しく日本語学科が有り、日本語を話せる人が意外といてびっくりしました。



留学生リレー日記
第1回 プロローグ(1) アメリカとドイツからこんにちは
第2回 プロローグ(2) じゃがいも&ドライブ&シェアハウス
第3回 大学紹介編(1) いざボストンへ
第4回 大学紹介編(2) 棚から...
第5回 大学紹介編(3) 星を眺めて、哲学にふける
第6回 大学紹介編(4) Q&Aその1
第7回 日常生活編(1) アイスホッケーはじめました
第8回 日常生活編(2) 心理的ハードルが低くなる
第9回 日常生活編(3) チョコとポテトは必需品
第10回 日常生活編(4) Q&Aその2
第11回 トラブル編(1) アメリカの洗礼
第12回 トラブル編(2) ビザが届かない!
第13回 トラブル編(3) 自分が持てる分だけ、買おう
第14回 エピローグ 私にとって留学とは、将来への展望


執筆者プロフィール

  趙 雪薇 (ちょう ゆきばら)
タフツ大学 生物医療工学科の大学院1年生 修士卒業後に渡米
研究内容は細胞外小胞を用いた細胞のリプログラミングへの応用
  滋井 康人(しげい やすと)
テキサスA&M大学 海洋学科大学院1回生 大学院卒業後就職し、社会人留学
構造地質や堆積学等、地質学の習得を目的として留学
川口 雄久(かわぐち かつひさ)
チュービンゲン大学 International Max-Plank Research School of Neural & Behavioral Sciences 博士課程1年目 学部卒業後に渡独、修士修了
研究内容は、セロトニンの視覚情報処理における役割

2016年3月21日月曜日

「留学生リレー日記」第4回 棚から...

今週はテキサスA&M大学海洋学専攻の滋井さんに留学の経緯を聞いてみました。思いがけず留学、ということもあるんですね!



そもそも、僕にとって、この留学は「棚から牡丹餅」のような話でした。留学とか全く無縁と思っていた中、会社から突然こういう機会が得られたので、自分の中に明確な動機があったわけではありません。当然、留学についても何も知らない状態からスタートしました。

留学の話が一昨年の12月末にあり、行先が決まったのが昨年の秋学期が始まる2か月前(6月)だったので、都合半年程度で何とか留学にこぎつけました。

秋入学としては動き出すのが遅かったので、受け入れ可能な研究室はほぼありませんでしたが、あきらめず教官にメールや電話で接触し、何とか今の教官が4月に承諾してくれ、それから諸々あって、6月に正式に合格ということになりました。

テスト系については、GREこそ1度でパスしましたが、正直英語は苦手だったのでTOEFLは数回受けた末パスしました。

留学の経緯は大体上述のとおりですが、そもそも、自分のパフォーマンスを大きく変えたい、とか、そのためには出来るだけ環境を大きく変えないといけない、みたいなことは、なんとなくいつも頭にありました。そういった意味で、勤務先であった大都会東京とは対照的な陸の孤島であり、かつまたテキサスという土地柄にあって、地に足がついていて体育会系的な感じの生徒ーリア充?ーの多いこの大学は、自分史的にも性格的にも正反対な僕にとっては最適だと感じています。



大学の歴史は詳しくありませんが、とりあえず名前の通り1876年に農工大学(Agricultural & Mechanical College of Texas)として発足したようです。1960年代に総合大学に鞍替えして今に至りますが、現在も大学の歴史の象徴として名前に「A&M」を冠します。上級軍事大学としての側面もあり、キャンパスや教室には軍服を着た生徒も普通にいます。



留学生リレー日記
第1回 プロローグ(1) アメリカとドイツからこんにちは
第2回 プロローグ(2) じゃがいも&ドライブ&シェアハウス
第3回 大学紹介編(1) いざボストンへ
第4回 大学紹介編(2) 棚から...
第5回 大学紹介編(3) 星を眺めて、哲学にふける
第6回 大学紹介編(4) Q&Aその1
第7回 日常生活編(1) アイスホッケーはじめました
第8回 日常生活編(2) 心理的ハードルが低くなる
第9回 日常生活編(3) チョコとポテトは必需品
第10回 日常生活編(4) Q&Aその2
第11回 トラブル編(1) アメリカの洗礼
第12回 トラブル編(2) ビザが届かない!
第13回 トラブル編(3) 自分が持てる分だけ、買おう
第14回 エピローグ 私にとって留学とは、将来への展望


執筆者プロフィール

  趙 雪薇 (ちょう ゆきばら)
タフツ大学 生物医療工学科の大学院1年生 修士卒業後に渡米
研究内容は細胞外小胞を用いた細胞のリプログラミングへの応用
  滋井 康人(しげい やすと)
テキサスA&M大学 海洋学科大学院1回生 大学院卒業後就職し、社会人留学
構造地質や堆積学等、地質学の習得を目的として留学
川口 雄久(かわぐち かつひさ)
チュービンゲン大学 International Max-Plank Research School of Neural & Behavioral Sciences 博士課程1年目 学部卒業後に渡独、修士修了
研究内容は、セロトニンの視覚情報処理における役割

2016年3月14日月曜日

「留学生リレー日記」第3回 いざボストンへ

「留学生リレー日記」第3週の今週は、出願から渡航までの流れを、タフツ大学在学中の趙雪薇さんにまとめていただきました。

 

海外旅行が好きで留学にはずっと興味があった。しかし本格的に行動に移すのは予想以上にハードルが高い。いざ博士課程に進学しようと思った時、日本では苦学生や就職難というイメージがあったが、米国の博士課程について詳しく調べてみるとそんな印象はどこにもない。そこで本格的に留学準備に取り掛かることにした。



実際の(と私の理想の)出願の流れを簡単にまとめてみる。

3月 研究室探し。とりあえず興味がある教授を検索しては自己紹介及び訪問したい旨のメールを送信。(誰かにラブレターを送るくらい細心の注意と情熱を込めるのが理想。)

5月 研究室訪問(行けるだけアタック。)

6月 TOEFL(理想ではここで完了。)

8月 TOEFL[再受験]、GRE受験(理想ではここで完了。)

9月 奨学金出願 

10月    推薦状の依頼

11月 GRE[再受験]、出願用エッセイを書く

12月1月 出願手続(すべてオンライン。締切の時差を考えなくてもいいくらいには余裕を持つ。)

2月 奨学金結果通知(早ければ11月頃に出るものもある。)

3月 (奨学金合格報告の後)合格通知

現実は常に理想通りにはいかないものである。これから留学を目指す人には是非根気強く頑張ってほしい。


ボストンは米国への移民が最初に到着した土地らしく街はどことなく中世のヨーロッパ的な雰囲気が漂っている。人々も米国人にしては大人しめな印象を受ける。他の都市に比べるとどことなく日本に近い安心感が得られるのは私だけではないはずだ。



留学生リレー日記
第1回 プロローグ(1) アメリカとドイツからこんにちは
第2回 プロローグ(2) じゃがいも&ドライブ&シェアハウス
第3回 大学紹介編(1) いざボストンへ
第4回 大学紹介編(2) 棚から...
第5回 大学紹介編(3) 星を眺めて、哲学にふける
第6回 大学紹介編(4) Q&Aその1
第7回 日常生活編(1) アイスホッケーはじめました
第8回 日常生活編(2) 心理的ハードルが低くなる
第9回 日常生活編(3) チョコとポテトは必需品
第10回 日常生活編(4) Q&Aその2
第11回 トラブル編(1) アメリカの洗礼
第12回 トラブル編(2) ビザが届かない!
第13回 トラブル編(3) 自分が持てる分だけ、買おう
第14回 エピローグ 私にとって留学とは、将来への展望


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  趙 雪薇 (ちょう ゆきばら)
タフツ大学 生物医療工学科の大学院1年生 修士卒業後に渡米
研究内容は細胞外小胞を用いた細胞のリプログラミングへの応用
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テキサスA&M大学 海洋学科大学院1回生 大学院卒業後就職し、社会人留学
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川口 雄久(かわぐち かつひさ)
チュービンゲン大学 International Max-Plank Research School of Neural & Behavioral Sciences 博士課程1年目 学部卒業後に渡独、修士修了
研究内容は、セロトニンの視覚情報処理における役割
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カガクシャ・ネットワーク http://kagakusha.net/
(上記サイトでバックナンバー閲覧可)
発行責任者: 武田 祐史
編集責任者: 日置 壮一郎
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転載ご希望の際は必ずご連絡ください。
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2016年3月7日月曜日

「留学生リレー日記」第2回 じゃがいも&ドライブ&シェアハウス

毎週お届けする「留学生リレー日記」の第2回です。研究時間や食事のことなど、生活の骨組みについて聞いてみました。ドイツではじゃがいもを食べ、荒野テキサスの娯楽は大都市へのドライブ、家賃高騰のボストンでは10人でシェアハウス、と、人それぞれの生活をしていますよ!

第1回から続く


研究室にいる時間は?



研究室への出勤時間と退勤時間を教えていただけますか?コアタイムはありますか?
コアタイムはなく、9時から9時半位に出勤し、18時位まで、ちょっと頑張ると22時くらいですね。
コアタイムはないですが、9時前に来て18時過ぎに帰ります。典型的なドイツ人はもう少し早いですね。8時前に来て16時前に帰ったりします。
私もコアタイムはないです。9-10時に行って17-18時に帰るという生活をしています。日本の研究室と比べるとアメリカの研究室は帰るのが圧倒的に早いです。
アメリカ、ヨーロッパに関わらずみなさんだいたい同じで、9時前に出勤し、18時ぐらいに帰宅されているようですね。

腹が減っては戦はできぬ


食事は自炊されていますか?それとも学食ですか?学食はおいしいですか?
ボストンは全体的に物価が高いので、自炊しています。自炊だと、白米が食べれるのも嬉しいですね。学食でも$8-12と外で食べるのと結局同じくらいかかります。ビュッフェ形式で肉が多いですが、たまに魚もでます。
夜は外食することも多いのですが、1回の食事で最低でも$10はかかります。昼は学食ですが、日本と違い、ファストフード店が並んでいるという感じですね。値段もボストンと同じくらいで$8-12です。コメは比較的簡単に手に入るので、今でもコメを食べています。
同じく昼は学食、夜はだいたい自炊です。ただじゃがいもを食べることが増えましたね。ドイツでは野菜と肉は非常に安いので、自炊をすると全然食費がかからないですね。
外食は高いことが多く、夜はみなさん自炊されているようです。やはり海外でも白米が食べたくなるようですね。

 長い留学生活、時には楽しいことも必要ですよね?


娯楽はどんなものがありますか?映画とか、カラオケとか・・・。土日は何をして過ごしていますか?
ジムによく行きます。レンタカーでヒューストンやダラスといった大都市にドライブに行くこともありますが、基本的に娯楽はあまりないので家にいることが多いですね。
旅行に行くこともありますが、あまり娯楽はないので、大体は家にいます。
ボストンはすごく小さい町で、大学のある町と、市街地が隣り合わせになっているので、デパートや映画館、カラオケがあったりします。普段の勉強の生活と週末の市街地遊びが両方できる町です。
大学のある場所次第のようです。やはり、長い留学生活を考えると、大学の所在地も重要な要素かもしれません。

気になるおさいふ事情、日本に帰れる?


一時帰国は高い買い物ですか?
ヒューストンからだと、日本まで1日ちょっとくらいかかるので、航空券が最低でも$1400、大学から空港までバスで約$100かかりますから、かなり痛い出費ですね。
チュービンゲンからだと、バスでフランクフルトに行き、そこから直行便になります。航空券は€600くらいで取れるのでそこまで高くはないです。
ボストンからだと、$900-1500ぐらいで帰れますが、それでも高いですね。
場所にもよりますが、やはり一時帰国は高い買い物のようです。

住居は生活の基盤


家探しはどうしましたか?家賃はどのくらい支払っていますか?ルームシェアはしていますか?
家賃は月$700くらいですね。はじめはホテルに滞在していて、不動産屋に物件を紹介してもらい見つけました。
大学のシェアハウスに住んでいるのですが、ボストンは物価が高いので、ひと部屋だけで月$1000かかります。キッチン一つ、洗濯機一つ、お風呂三つを10人でシェアしています。
趙さんと同じで、家ひとつを学生何人かでシェアしています。自分の部屋を除けばすべてシェアで、ひと月€370です。研究室からの給料が一般的には手取りで€1000程度なので、出費に占める割合は大きいです。
出費の中で、家賃が多くを占めることが多いようです。家賃を考えるとルームシェアも考えたいですね。

来週からはいよいよリレー日記本編が始まります。最初のテーマは「留学の動機と、現在の大学院生活」です。どうぞお楽しみに!



留学生リレー日記
第1回 プロローグ(1) アメリカとドイツからこんにちは
第2回 プロローグ(2) じゃがいも&ドライブ&シェアハウス
第3回 大学紹介編(1) いざボストンへ
第4回 大学紹介編(2) 棚から...
第5回 大学紹介編(3) 星を眺めて、哲学にふける
第6回 大学紹介編(4) Q&Aその1
第7回 日常生活編(1) アイスホッケーはじめました
第8回 日常生活編(2) 心理的ハードルが低くなる
第9回 日常生活編(3) チョコとポテトは必需品
第10回 日常生活編(4) Q&Aその2
第11回 トラブル編(1) アメリカの洗礼
第12回 トラブル編(2) ビザが届かない!
第13回 トラブル編(3) 自分が持てる分だけ、買おう
第14回 エピローグ 私にとって留学とは、将来への展望


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研究内容は細胞外小胞を用いた細胞のリプログラミングへの応用
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テキサスA&M大学 海洋学科大学院1回生 大学院卒業後就職し、社会人留学
構造地質や堆積学等、地質学の習得を目的として留学
川口 雄久(かわぐち かつひさ)
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