2016年11月28日月曜日

連載「アメリカ修士留学記(航空宇宙工学)」第1回:やろうと思えばできる


今月から3ヶ月連続で、アメリカ修士留学記をお送りします。アラバマ大学航空宇宙工学科を2016年に卒業された関さんに、2年間の留学生活と就職活動を振り返っていただきました。山あり谷ありの留学生活の生の声をお届けします!



大学院留学しようと思ったきっかけ

私が大学院留学しようと思ったきっかけは、したほうが良いと直感したといえばそれで終わりになってしまいますが、振り返れば恐らく大学1年生の夏に行ったアメリカへの短期留学ではないかと思います。その時は、文化の違いに驚いたぐらいでしたが、歳を重ねるにつれて留学が自分の人生の肥しになるはずだと感じてきたのです。

私は今まで何か一つでも人類に貢献できる人になりたいと思っていました。そういう人になるには、やはり世界を知らなければならない、と思っていました。また、他の人と違うことがしたいということもあり、留学ということが浮かんできました。親から「若いうちに苦労はいっぱいしとけ」と言われたことや、私の尊敬する指導教官やノーベル賞受賞者等、世の中に貢献している多くの人は、留学していることも後押ししました。アメリカには世界中から人が集まり、大学院は教育の本場だといわれています。そんな所で、自分の力が通じるのか見てきてやろうじゃないか、と決意したのです。

留学準備

私は大学院留学の準備を大学2年生の後半にスタートさせました。大学院留学にはTOEFL、GRE、志望理由書(エッセイ)、推薦状3通が一般的には必要です。この辺のことは、先輩方が多くの記事を書いていると思うので割愛します。言っておきたいことは、私ができたのだから皆できるということです。私は高校生の時から英語は苦手でした。そういう劣等感があったので、大学でも力を入れて勉強しましたが、大学2年生の時に頑張って勉強してTOEIC600点というレベルでした。それでも何とかなったので、つまずいている方は励みにしてもらえると幸いです。

留学中

私はアラバマ大学大学院の航空宇宙工学科の修士課程に進学しました。ここに決めた理由は、博士の日本人の先輩がおり、卒業生の方と交流があったためです。アラバマ大学では、日本の90分週1回の授業とは対照的に、週に2、3回同じ授業があります。授業時間は日本よりやや短く、週2回の場合は70分で週3回の場合は50分です。授業期間は、春は1月から5月、秋は8月から12月のそれぞれ約4か月間です。テストは基本的に中間2回と期末1回の3回あり、その他にも宿題とプロジェクトというものがあります。 プロジェクトというのは普通の宿題よりも時間をかけて行う宿題のことです。

例えば偏微分のクラスでは合計4つプロジェクトがありました。プロジェクトの期間はだいたい2、3週間で、私の専攻ではプログラミングは基本なので何かしらのプログラム言語を理解している前提で課題が出ました。だいたいの人はMatlabでした。私は大学2年生の時に少しC言語を授業で習っただけなので、プログラミングなんて本当にちんぷんかんぷんでした。しかし、プロジェクトを1週間で仕上げなければならなかったので日本人の先輩の手を借りながら、一から理解していきました。

これは本当に大変でした。しかし、人間というものは追い込まれると力を発揮するものでなんとかできましたし、この1週間がこの後のプロジェクトや研究に役立ちました。また、プログラミングというものに抵抗がなくなった気がします。アメリカに行く際には何かプログラミングができると後々楽になると思います。

研究に関しては、ほとんど何も知らない状態からのスタートでした。私はポスドクの人がやっていた研究を引き継いだのですが、その人がすぐに学校をやめて違う州の会社に就職してしまったうえ、教授もそのテーマについて専門ではなく、他の研究メンバーも全く違うことをやっていました。そもそも、私の大学では私の与えられたテーマを研究している人がおらず、それが大変でした。

しかも、研究報告は週1回で10-20分でした。日本では、分からなければ先輩に聞けますし、教授も研究報告のために週1回1時間半を取ってくれていたので、この違いにびっくりしました。もう、これは自分一人でやって教授に教えるぐらいの気持ちでやるしかないと決心しました。結局研究は無事終わりましたが、学会で発表できたというわけでもなくモヤモヤして終わりました。そういう意味では、日本で研究していたほうが良い結果を残せたかもしれません。しかし、こういう教授もいるのだ、こういうやり方もあるのだと知ることができたことは大きな財産です。

留学後の進路

一番皆さんが気にされているのは留学後の進路だと思います。私の場合、正直なところ博士に行くほど勉強が出来るとは思いませんでしたし、研究の世界で一番になれはしないと思っていました。でも、研究の世界にも興味はありました。企業で働いて大学に戻ってきたという人もいますし、やはり1回働いてみたいと思い、留学後は就職するつもりでした。

就職するとしてもアメリカか日本かという選択があります。航空宇宙系の会社で働くならば、アメリカではグリーンカード(市民権)が必要です。これをとるのはなかなか難しいらしいです。グリーンカードが必要ない他の職種ならなんとかなるかもしれませんが、私はもともとアメリカで働く気はありませんでした。周りからは、給料も良いし何で就職しないのと言われましたが(笑)

留学生の中では珍しいかもしれませんが、私は日本で就職する気でした。留学中に日本がやっぱり好きなのだなと気付きましたし、この日本を良い方向に変えていきたいという思いを持っていたからです。坂本龍馬風に言うと「日本を今一度洗濯し候」です。ですから、もともと日本の企業に就職して日本に貢献しようという気でした(アメリカの企業に行きたい人、ごめんなさい)。

では、どうやって就職活動したかといいますと、皆さんご存知のボストンキャリアフォーラムを活用しました。ボストンキャリアフォーラムは毎年11月後半に行われます。私の場合は、研究の発表やテスト勉強期間中とかぶっていたのですが、合間を縫って就職活動をしました。人間やろうと思えば何でもできるものです。

具体的な私の就職活動については、第2回でお話ししたいと思います。

○ 次回は12月下旬の発行予定です。お楽しみに!
○ 関さんにご質問がありましたら、カガクシャ・ネット宛にお気軽にご連絡ください。

【お知らせ (2017年1月2日まで)】
ダブルディグリープログラム学生募集:兵庫県立大学大学院&カーネギーメロン大学

兵庫県立大学大学院とカーネギーメロン大学では応用情報科学のダブルディグリープログラムの学生を募集しています。詳しい情報は以下のリンクよりご覧ください。
http://www.kagakusha.net/job/bingkuxianlidaxuetokanegimerondaxuetonodaburudiguripuroguramunitsuite
ダブルディグリーですが、2年で卒業できるプログラムです。



著者略歴:

 関 大悟 (せきだいご)
 2014年 8月 上智大学理工学部 材料力学研究室 卒業
 2015年12月 アラバマ大学大学院航空宇宙工学科 修士
 2016年 4月 重電系大手に就職(日本国内)

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発行責任者: 武田 祐史
編集責任者: 日置 壮一郎
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